こんにちは、ジミーです。
今日は絵とお金の歴史です。
まず本題に入る前に、『なぜ絵の歴史をビジネスの勉強をしたい人向けに書くのか』という話をします。
メリットが分からないと読む気も失せますからね。
絵なんて興味ねーわという方もいると思います。
が、今回話す内容はビジネスで上手くいきたいなら必須で学んでほしいものです。
「絵の歴史なんて学んだって意味ねえじゃん。」と思う方へ。
絵とお金の歴史を振り返ると、両者は常に密接な関係にありました。
時には、『絵と政治』として。(王政との関係が主。)
時には、『絵とビジネス』として。
様々なシーンで、絵とお金は切っても切れない関係として歴史に刻まれてきました。
マクロで考えると、政治も一種のビジネスみたいなものです。
絵に関する歴史を学んでいくことはすべて、ビジネス力を底上げすることに繋がるということになります。
加えて今、一部の富裕層の間でアートに注目が集まっているという事実も知っておくといいでしょう。(富裕層の興味関心をおさえておくことは、ビジネスにおいても重要な点です)
たとえば昨今では、
2017年にレオナルドダヴィンチ作といわれる絵画『救世主』が約510億円で落札されました。
これは絵画の価格としては史上最高額になります。
他には、2021年に、正体が不明の覆面アーティスト「バンクシー」による作品、『愛はごみ箱の中に』がみなの予想を裏切り大きく上回った約29億円で落札されました。この作品は落札の3年前のオーディションで落札されると同時に仕込まれたシュレッターで絵がバラバラにされ、世界を騒がせたものです。
(バンクシー「愛はごみ箱の中に」)
その当時のオークションでは約1.5億円で落札されていたので、3年で価格が19倍に上がったことになります。
資産性の高いアート作品は、株式投資や不動産投資より値上がり率が高いと言う点で、富裕層の間で人気が高まっていたりもします。
絵の歴史の勉強をしていると、
・お金はどこからどこへ動くのか。
・お金はどんな場所に多く存在するのか。
・ファンはどのように増やせばいいのか。
・人によってはゴミ同然の1枚の絵がなぜ億単位で売れることがあるのか。
といったビジネスに活きる学びから、
・権威に支配されずに、搾取されずに、自由になる秘訣。
・またその逆で、権威を使って大衆を支配する方法。それを応用して商品が大量に売れる仕組みを作る方法。
・一見価値がなさそうなものを高額で売る裏技的なスキル。
etc…
手法の善悪に関する議論は置いておいて、
こういった多少アングラな知見まで身につけることができます。
歴史は繰り返す。これを理解できるとビジネスは簡単になります。
繰り返すのなら、過去の勝者側の動きを真似すれば、同じく勝者になる。
逆に過去の敗者の動きを真似してしまうと、同じく敗者になるというわけです。
歴史を学び、過去の勝者を真似る。
これがいつの時代でも共通する成功法則です。
ということで、今回から『絵とお金の歴史』をシリーズとしてちょいちょい書いていこうと思ってます。
絵だけに限らず、『〜とお金の歴史』的な感じで、他にもいろんな”お金にまつわる歴史”を話せたら面白いなと思うので、お楽しみにです。
普通だったら学びたくない堅苦しそうで難しそうな話を、深く楽しく学べるコラム的なニュアンスで書いていきます。
僕が長い時間をかけて知り得た知識も話していこうかと思っています。
気分的には無料で出したくはありません。
が、多くの人に学んでほしい気持ちも強いので、しばらくは無料で公開するつもりでいます。いつ有料にするか私自身もわからないので、僕の気分が変わる前に読んでおいてくださいね。
それでは以下より本題です。
↓ ↓ ↓ ↓
【絵とお金の歴史①】”美術界の反逆児”から学ぶファンの増やし方。「アカデミズムの終焉と印象派のはじまり」
今回の話で重要になるポイントは1点。
・儲けを増やしたいなら、『権威(が作り出した常識)の逆張り』をすることでファンを増やすべし。
ということ。
これだけです。
詳しくはここから書いていきます。
なんとなくで構いませんので、以上の1点を頭に入れた上で読み進めてください。
19世紀を代表する画家。ギュスターヴ・クールべを知っていますか?
美術界の反逆児とも呼ばれる男です。
彼の作品で有名どころだと、下記画像の「画家のアトリエ」。
(画家のアトリエ)
他にインパクト強めの作品でいうと、
19世紀の美術作品の中でも”最も卑猥”だと批判された『世界の起源』。
これは問題作として世界を驚嘆させたことで有名です。
とんでもなく「無修正」な作品すぎるので、さすがにここには載せれません。
気になる人は調べてみてください。
彼は当時の圧倒的権威である王政に容赦なく噛み付く、当時の番長的存在でした。
そして、『印象派登場のきっかけとなった画家』としても有名です。(それは同時にアカデミズムの終焉を意味します。詳しくは後述)
というのも、彼はレアリスムという、当時の王政に反発的な態度を取る主張を信条にしていました。
19世紀当時は歴史や宗教をテーマにした絵画が主流でした。またそこから派生して、人物画(王家、教皇)を描くことが奨励されていました。
これをアカデミズムと言います。
簡単にいえば「古典的なスタイルこそが至上であり、新しいスタイルなんぞゴミ同然じゃい」という主張です。
レアリスムはアカデミズムと真逆で、”今”をリアルに書くべきだという主張です。『印象派』の起源になった主張です。
ただ当時は、アカデミズムにごりごりに偏った時代でした。
というのも、『画家として食べていく力を得る』というのが背景にありました。
つまりは当時の画家のパトロンは王家や教会でした。パトロンが好んでくれる絵を描かなければ、生活費も稼げないし、画家活動をしていくための費用も稼げなかったわけです。当時の主義に従わないと食っていけない世界だったのです。
(※パトロンとは後援者、支援者などの意味で、要は絵に金を払ってくれたり画家活動の支援をしてくれる資本家を指します。)
プロパガンダに支配された19世紀当時の美術世界
王家や教会の人間に好まれる絵を描かせるアカデミズム支配。
これはなんと約400年もの間に渡って続きました。(文化の中心だったのは200年ほどですが)
これは政治においての情報操作、プロパガンダが重要な背景としてあります。
要は、有名で偉大な画家に、実物より3割増しくらいでイケメンな大きな肖像画を描いてもらう。
そしてそれをデカデカと飾る。民衆に見せつける。ということをやって、権威を知らしめていたわけです。
(イアサント・リゴー《ルイ14世の肖像》1701年)
アカデミズムの主軸をつくった王として有名な、ルイ16世の肖像画です。
ルイ16世によって1600年代に設立された「王立芸術アカデミー」がアカデミズムの起源とされています。
杖や、杖の後ろにある王冠。煌びやかな部屋。大きなマント。
階級高い人間にしか許されない身なりや背景を描かせることで国王としての権威を視覚化したのです。
権威を知らしめることで、逆らってはいけないという恐怖を生み出し、大衆を洗脳していたというわけです。
全く同義というわけではありませんが、今の綺麗な言い方をすれば、ブランディング戦略と近いでしょう。
・自社の権威を高めるために、有名ブランドとコラボをしたり
・自社の権威を高めるために、(たった数人にしかアンケートをしていないのに)「顧客満足度99%越え!」と謳ったり、
・自社の権威を高めるために、スポンサーに有名どころがついてることをデカデカとアピールしたり。
これらと同じで、当時の王政でも、我らはすげーんだぞ。と権威を示すことで、逆らえない仕組みをつくって、大衆を従わせたわけです。
当時の権威(が作り出した常識)に逆張りし、多くのファンを獲得した反逆児クールべ。
結論から言うと、クールべは当時の権威に逆張りした姿勢を見せ、多くのファンを獲得しました。
当時の権威(王政、教会)がつくりだしていた常識、つまり先に書いたレアリスム(”今”をリアルに書こうぜ派)によって、アカデミズム(歴史画、宗教画推奨派。そしてわしの肖像画を3割マシのイケメンにして描け!なるだけデカいキャンバスでよろしく。派)の逆を主張したのです。
アカデミズム支配から脱却をした。つまり、権威に依存をすることなく支配されることもなく、画家でも自由に生きることを可能にした先駆者となったわけです。
では、どのように主張したのか?
世界初の、個展を開きました。
クールべは”世界で初の個展”を開催した画家としても有名です。
今では当たり前になっている画家の個展ですが、当時はただの個人が展示を開くなんて、非常識だと考えられていました。
それでもクールべは権威を無視して、非常識だろうとなんだろうと構わん。というスタンスで逆張りになる主張を込めた個展を開催したのです。
『いや別に万博とか興味ないっすわ。王家の言いなりになる意味もわからんです。
僕にはファンもいるし、人気者なんで、僕は僕で個展を開くよ。指図なんてしないでくれ』
ってノリです。
この姿勢に『クールべさんかっこよすぎっしょ、、』となり影響された若い画家たちが後に集まり、リアリスムの流れから印象派が生まれました。
王家の連中なんやねんマジで。新しいスタイルももっと評価しやがれ。と声をあげる画家がクールべに続いて増えていったのです。
印象派といえば、マネ、モネ、ルノワールなんかが有名どころですね。ポスト印象派とよばれる、印象派につづいて生まれた主義では、ゴッホとかがいます。
フランス革命をみれば分かるが、この時期にはブルジョワ層もお金を持っていたので、市民から芸術家のパトロンが生まれることも増えていたという背景もあって、リアリスムや印象派が食える画家になれた。よって、広まっていったというわけです。
(19世紀のブルジョワジーを描いた絵画)
ここで伝えたいのは、クールべは当時を支配していた権威(そしてその権威がつくりだした常識)に逆張りをしたことで、王政や教会のパトロンに頼る必要はなくなり、自分が望むスタイルで作品を製作することができたのです。
これはどの時代でも共通します。
現代でも、逆張りしてファンを獲得している人は実際多くいます。
ビジネスであれば、その市場においての常識に対して逆張りをすることによってファンを増やすことができます。
競合他社(ライバル)が当たり前に発信しているメッセージの逆をいくイメージです。
すでに市場にある常識=先行してシェアを獲得していた競合他社が作り出した概念。ですからね。
ただ逆をいくのではなく、逆をいった上で、逆の立場のライバルの問題点または弱点を批判するというのが重要です。
なんのこっちゃとなると思うので、1つ事例を出します。
塾ビジネスの事例です。
「大手予備校では集団授業をするのが当たり前だが、頭のいい子だけがついていける構造で、勉強苦手な子が置き去りになる構造になっています。これはいかがなものかと。私の塾では勉強できない子の成績を短期で一気に伸ばすために、個別指導を取り入れています。」
大手予備校←→個別指導塾
集団授業で成績を伸ばそう←→集団授業じゃ勉強できない子を見捨ててるも同然じゃね?個別で我々はひとりひとりに向き合って成績を伸ばしていきます。
といった逆張りの構造です。この構造で儲かっている塾は昨今多くなってきていますね。
塾ビジネスの市場で旧来よりシェアを獲得していた企業は、「集団授業」のモデルがほとんどでした。
そこで「集団授業」の問題点、弱点を指摘して、逆の立場をとった事例です。
令和の虎などにも出演されている林社長がフランチャイズで広めた武田塾なんかもこれと似たニュアンスで、多くの受験生に刺さり、急速に展開していきました。2020年時点の年商で70億ほどあったそうです。
顧客が逆の立場のライバル企業に対して、なんとなく不満に思っていたこと(問題点、弱点)を批判するのです。
そうすることで、顧客からの信頼を得られます。共感してもらえるが故に、信頼してもらえるのです。
結果、ファンが増え、楽に物が売れていきます。
「そうそう。私もそう思っていたのよ」と思わせたら、勝ちです。
ついでに、ライバル企業を顧客が選ぶ選択肢も消すことができます。要は、自社のサービスが選ばれやすくなるわけです。
理解をさらに深めるために、もう一つ事例を出します。
ダイエット事業の事例です。
『筋トレで痩せることを教えている某大手トレーニングジムがあるが、実際痩せれない人のほとんどが食事を軽視しすぎています。そもそも自分の肉体は普段の食事からつくられるのであって〜。トレーニングも大事だけど、食事法に関して教えないのはやばいよね。私はみるみるうちに痩せる、にも関わらず満腹感も満たせる最高の食事法を発信してます。それをまとめたnoteを3000円で販売してます。』
大手トレーニングジム(組織)←→食事法ダイエット発信者(個人)
筋トレで痩せる←→食事を改善しないと筋トレしてもマジ意味ないから。
とか。
このように旧来の組織がつくりあげた常識的な思想を批判をして、逆張りしたサービスを販売するのも非常に有効です。
ファンを増やして楽に売れる人間になってください。
今回話した「逆張り」の動き、ぜひ自分の事業に取り入れてみてください。
小さな水滴が池に落ちて、次第に大きな輪として広がっていくように、クールべたった1人の逆張りから、次第に力は広がり、今にも伝わる印象派の誕生につながったわけです。
クールべの逆張りが、後の伝説ともいえるクラスの画家、マネ、モネ、ゴッホたちを生み出したと言っても過言ではないのです。
それだけ強い威力を持つ施策が、逆張りです。
自分のファンを増やせば、何かに依存することもなく、自由な生活を保った上で、安定した利益を生み出すことが可能になります。
クールべが当時の他の画家たちのように王家に依存せず、伸び伸びと自分の絵を貫けていたように、何かに支配されることなく事業を伸ばすことができます。
ファンが多数いれば、ファンとのやり取りだけでビジネスが成立しますからね。
非常にストレスフリーになります。
実践された方はぜひ報告ください。
今回はこんな感じで終わります。お金と歴史シリーズ好評であれば続けるので、感想お待ちしてます。